まさに王道的アニメの世界。マンガの『ナウシカ』に近い印象を持った。

 押井氏の眼から見て、『戦場のヴァルキュリア』にはアニメーションの歴史の中で淘汰されてきた要素がきわめて洗練されたカタチで結実しているという。

「舞台が架空のヨーロッパという設定もそうだけど、ヴァルキュリアという特殊能力を持った少女の存在もアニメーションの歴史の成果物を見事に取り入れている。戦車をロボットに置き換えたら、まさに王道的アニメの世界。僕個人の感想として言えば、映画の『ナウシカ』じゃなくマンガの『ナウシカ』に近い印象を持った。これを映画にしたいっていう人間が出てきてもおかしくない。普通で考えれば本末転倒だけど、今はあり得るよね。映画にすることで情感の部分で濃密な体験を付加することは可能だから。今のところ映画のアドバンテージはそこくらいしかない。もちろん、僕らはそこで負けるわけにはいかないけどね(笑)」
“Invitation” June 2008 No.63 (ぴあ株式会社 刊) 掲載

押井守 Mamoru Oshii

1951年生まれ。テレビ作品の演出を経て、1983年『うる星やつら オンリー・ユー』で劇場アニメーションを初監督。
2作目の『ビューティフル・ドリーマー』は熱狂をもって迎えられる。以降に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』、『イノセンス』などがある。
新作は8月2日(土)より公開の『スカイ・クロラ』。